菜種梅雨とは、3月下旬から4月上旬の時期に降り続く雨…春の長雨のことです。菜の花が咲いている頃に降る雨なので菜種梅雨というわけなんですね。
あ、菜の花は別名菜種といいます。読み方は「なたねづゆ」ですよ。
花を催す雨という意味で「催花雨(さいかう)」とも呼ばれ、この時期の季語でもあります。
手紙や挨拶なんかで使ったりすると、気が利いていますよね。
この菜種梅雨は、梅雨のように雨が何日も続くことはありませんが、やっぱり梅雨というだけあって、すっきりしない天気は続くようです。
この菜種梅雨の原因と梅雨の移り変わりをご説明します。
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菜種梅雨の原因と日本の天候の移り変わり
春の季節になると、本州付近に溜まっていた冬特有の大陸高気圧の張り出しが弱まって、北に移動性高気圧が偏ることが多くなってきます。関東付近の天気がくずついてしまうのは、湿った北東気流がこの移動性高気圧の南縁に沿って流れ込んでいるからです。
その上、九州から関東にかけての太平洋側にも曇雨天が続くのは、太平洋沿岸に前線の停滞も起こって、そこを低気圧が通ります。
菜種梅雨は北日本には見られません。というのは、上記のようなことが原因になっているからなんですね。
この気象現象は、西日本から東日本の太平洋沿岸にかけて見られるのです。
この長雨…菜種梅雨の時期が終わるとやっと本格的な春がやってきます。
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季節の変わり目って、とかく天気がぱっとしないことが多いですよね。
5月下旬頃に降り続く「走り雨」という梅雨の前触れのようなものがあったり、6月から7月にかけては本当の「梅雨」、8月下旬からは10月くらいまでの時期での「秋雨(すすき雨)」11月下旬~12月上旬まででは「さざんか梅雨」…など、ただの雨ということではなく、風情ある表現が使われています。
「春の長雨」「菜種梅雨」と呼ばれる、ぐずついた天気が多いのは、今に始まったことではありません。昔むかし、平安の頃から桜の季節には、こういった現象はよくおこっていました。
水害をもたらすほどの大雨にはならなくても曇りや雨のすっきりしない日が続くという特徴が、3月中旬から4月中旬にかけては、よくあったんです。
昔の人は、天気が悪くても悲観的にならずに、こんな言葉遊び感覚で気分を盛り上げたのかもしれません。
日本語には、趣のある言い回しがたくさんあります。
「花の雨」は桜に降りそそぐ雨のことを「花曇」は、桜の季節での薄曇りの天気のことを「花冷え」は、桜が咲く頃に寒さがぶり返すことを言います。
花と天気を結びつける表現は多数あり、これらの言葉は菜種梅雨と同じで季語となっています。
「菜種梅雨」は、かつては限られた人種、俳人などが使う専門用語でしたが、次第に一般人に、例えば天気に左右されやすい職業の人たちにも使われるようになり、それから更に日常的なものになっていきました。
昔の人の風流な感覚には、まったく関心してしまいますね。
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