リラ冷えとは何のことかご存知でしょうか?
これは北海道でしか使われない言葉です。
…というか、北海道人でも「リラ冷え」の意味を知ってる人ってそんなに多くないでしょう。
そもそもリラが何を意味することか知らない人も少なくないのです。
1960年に制定された札幌市の花はスズラン、木はライラック、鳥はカッコウです。
札幌の木であるライラックは、フランス語でリラといいます。
リラ冷えは、北海道での気象現象ですが、最初は札幌における造語として表現されていました。
5月頃に起こることが多い、このリラ冷え。
元々の語源と意味をお伝えします、ぜひチェックしてみてください。
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リラ冷え~この言葉の意味は?花冷えとの違い
5月末の北海道は、初夏の暖かくなる時期で、もうすぐ夏!と思った途端に、急に冷え込む…とう気候の変化があります。
これがリラ冷えです。一種の寒の戻りなんですね。
ですが、これは北海道における言い方だということ。
本州で寒の戻り現象が起こるのは、だいたい4月頃ですよね。
桜が咲く頃であり、これを花冷えと言い、ここで言う「花」は、桜です。
リラ冷えは、もちろんリラ「ライラック」のことです。
北海道でも、寒の戻りがあったら「花冷え」でも良いのでは?と考えるところですが、さすがに時期がちがいます。
花冷えの「花」は桜を指しているのですから、5月の寒の戻りに花冷えというのは、どうにも格好がつきませんよね。
…という理由ではないと思いますが、その頃の咲く花ということでリラ(ライラック)の花が出てきたのかもしれません。
リラ冷えの語源~もともと使い始めたのは誰?
このリラ冷えという言葉を初めて使ったのは、北海道の俳人「榛谷美枝子(はんがいみえこ)」氏だということです。
辻井達一さんという北大の農学部の先生だった方の本の中で、この榛谷美枝子氏が「リラ冷え」を使った句がありました。
それを見つけた作家の渡辺淳一氏がこの言葉を使ったタイトルの本「リラ冷えの街」を出版したことことから、「リラ冷え」が定着したものと思われます。
なんとも不思議ですよね、あの渡辺淳一がこの句に目を留めることがなかったら、「リラ冷え」がここまで知られるものにならなかったかもしれません。
この言葉に敏感に反応した感性は、やはり作家ならではのものだったのでしょう。
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季語で使うリラ冷え
作家、渡辺淳一氏が書いた書籍「リラ冷えの街」で人々の目にとまり始めた「リラ冷え」ですが、この本の出版は昭和46年(1971年)で、かれこれ45年前ですから割と新しい季語だといえます。
実際、榛谷美枝子氏が「リラ冷え」を詠んだ俳句が載っていた本は、1970年出版のものらしいので、渡辺淳一氏が見つけてから、リラ冷えの街を出版するまで、わずか1年程度だっというわけです。
因みに榛谷美枝子氏が詠んだ句には、リラ冷えを季語に使った~
「リラ冷えや睡眠剤はまだ効きて」
というものがあります、なんともしんみりとした俳句ですよね。
ライラックの和名は、紫丁香花(ムラサキハシドイ)です。
なぜフランス語のリラを使っての言葉ができたかというのは定かではありませんが、そこはやはり俳人が考えた造語。
ムラサキハシドイは、あまりにも長すぎる^^;
ライラック冷えよりリラ冷えの方が、やっぱりしっくりきます。
この響き自体も、異国情緒ただよう趣がある雰囲気が素敵です。
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